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第二回
 
プロフィール

小熊秀雄(おぐま・ひでお):

昭和29年に父親が創業した「埼玉屋」を、21歳の時に継ぎ、業界屈指の繁盛店に。夏、冬の休みには世界中を食べ歩き、新メニューの開発を続けている。約40年間、芝浦の東京食肉市場に毎日通った食肉の目利きには定評があり、非常に品質の良い食肉を使った「やきとん」を安く食べられることから、「埼玉屋」はファンの間で“聖地”とまで呼ばれている。「埼玉屋」は店舗の建て替えのため、2009年9月末に一時閉店し、2010年5月に再度、開店予定。新開店後は、従来の形の大衆酒場のほかに、予約制の肉料理店を併設する計画だ。

「埼玉屋」

東京都区北区東十条2−5−12

電話:03−3919−2369

 

ホッピーミ〜ナ:

本名は石渡美奈(いしわたり・みな)。ホッピービバレッジの取締役副社長にして、空飛ぶ看板娘。1990年に立教大学卒業後、大手食品メーカーに入社。93年に退社後、広告代理店でのアルバイトを経て、祖父が創業したホッピービバレッジに入社。広報宣伝を担当し、ブログが人気を博すなど、ホッピーブームに貢献している。

 
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ミ〜ナ:

お邪魔しま〜す! 今回、やって来たのは北区の東十条。やきとん好きには“聖地”とまで称され、開店1時間前の午後3時から行列ができるというのが、ここ「埼玉屋」さん。大将の小熊秀雄さんには、私の祖父の石渡秀の時代から、父を経て私まで、3代にわたって長〜いお付き合いをいただいています。大将! 仕事をしている時の祖父って、どんな感じの人でしたか?

 

小熊:

いやあ、俺がミ〜ナちゃんのお祖父ちゃんと一緒に、千葉県の旅行会に行ったのは20歳頃だからねえ。まだガキだったから、よくわからなかったけど、たいした人だったと思うよ。如才ない感じで全体を仕切ってたのと、宴会で踊りを踊ってたのは、よく覚えてるな。

 

ミ〜ナ:

踊ってた、踊ってた(笑)。それは私も覚えてます。旅行会というのは、うちが主催していた慰安旅行ですよね。いつ頃の?

 

小熊:

確か昭和43年頃じゃないかな。その頃に、俺が親父の跡を継いで店をやるようになったんだ。だから「お前、旅行会に行ってこい」って言われて、行ったんだと思うなあ。当時、ホッピーは全部、特定の問屋経由の直販だったんだよね。王子、赤羽の界隈には、うちみたいな大衆酒場がたくさんあって、ホッピーを置く店も多かったんだ。

 

ミ〜ナ:

当時もいまも、ダントツで売っていただいているお客様は「埼玉屋」さん。で、「埼玉屋」さんのホッピーと言えば、焼酎をシャーベット状にして、そこにホッピーを注ぐ“みぞれホッピー”です。ああいう形になったのは、いつ頃からなんでしょうか?

 

小熊:

俺が店をやり始めてすぐだから、もう35年くらい、あの形だよね。何でかというと、当時、みんなが氷を入れて酒を飲むようになったんだ。ホッピーにも、お客が「氷入れないの?」って聞いてくるようになったわけ。ホッピーに氷なんか入れたら、薄くなって、まずいのはわかってるじゃない。だから、氷なんか絶対に入れたくなかった。氷を入れずに、氷で冷やしたドリンクに対抗するにはどうするかと考えたら、“みぞれホッピー”のアイデアが出てきたの。その後、樽ホッピーが出てきたから、さらに形を極め、味がよくなったんだよ。

 

ミ〜ナ:

焼酎をシャーベット状にして保管するのは、けっこう難しいのではと思うんですが?

 

小熊:

温度設定が大変なんだ。春夏秋冬でも違うし、その日の気温の具合でも違う。設定を間違うと、一升瓶がポコポコ割れちゃうの。その研究に、えらい時間がかった。

 

ミ〜ナ:

やっぱり匠の技なんですね。お店をやってる人たちが、ああいう形でホッピーを売りたいと思って、みんな「埼玉屋」さんに勉強に来るんだけれども、自分で相当に研究しないと難しいみたいです。本当のノウハウって、見ただけじゃあわからないですよね。

 

小熊:

試行錯誤の積み重ねだからね。それと一番大事なのは「氷を入れない」という筋を通すってことさ。結果的に儲けに走っちゃダメだってことだよ。いまの俺んちの売り方は、あまり儲からないのはわかってるんだ。氷をぶち込んだら、俺んちのホッピー1杯で、5杯分作れるよ。でも、そんな薄まったホッピー飲んで、うまいわけないじゃない。そんなことしてまで、お金儲けて、何が楽しいかってことさ。ホッピーのうまさを引き出すような形で売るのが、売り手の責任じゃないのかな?

 

ミ〜ナ:

至言です。ありがとうございます! お客様に、こういうものを飲んで欲しい、食べて欲しい、そういう大将の気持ちが伝わるからこそ、「埼玉屋」さんのファンは増え続けているんだと思いますね。私なんかが嬉しいのは、コースの最初に出てくるクレソンと大根のサラダなんです。「埼玉屋」さんにうかがうと、クレソンがあるから大丈夫みたいな安心感があるんですよ。

 

小熊:

クレソンは血液中の脂を分解するし、大根は胃にいい。あのサラダを食べておけば、バカ飲みしない限り、次の日は爽やか。お客の体のことを考えてあげない飲み屋は、飲み屋じゃないと思うんだ。医食同源が基本だよね。

 

ミ〜ナ:

焼とんのコースの中には、大将が世界中を食べ歩いて、工夫したメニューがありますね。チレのガーリックバターとか。

 

小熊:

あれは、フランス料理のフルコースを食べてる時に思いついたんだよ。チレって、あの味自体はすごく淡泊で、よく焼いて食べたほうがいい。フランス料理に触発されて研究したら、よく焼いたチレに、ガーリックバターを載せると、淡泊な味に深みが出て、よく引き立つのがわかったんだ。最近出しているのでは、鶏のサルサソースなんて面白いよ。コースの最後に食べると、口中がすっきりする。

 

ミ〜ナ:

もうワンラウンド、食べたくなったりして(笑)。ホッピー以外の飲み物では、何といってもレモンハイですね。レモンがたっぷり入っていて健康的だし、飲み口にほどよく塩が付けてある。そのバランスが絶妙なんですよ。今日みたいな暑い日には、おいしいだろうなあ。飲みたくなってきました(笑)。

 

小熊:

まあ一杯目は“みぞれホッピー”をキュ〜っと喉に入れてもらってね。次にレモンハイというパターンのお客が多いよね。あのレモンハイは、メキシコでテキーラを飲んでいて、思いついたんだ。塩を加えることで、レモンハイがびっくりするくらいおいしくなった。こういうことって、飲み手は意外に考えつかないんだよ。だから売り手が、考えを180度くらい変えてあげないとね。飲み手が想像もつかないようなことをやらないと、ホッピーだって、レモンハイだっていまのようには生きなかったと思うんだ。例えば梅ハイってあるじゃない? あれに適度にレモンをしぼってやると、実にうまくなるんだよ。知ってた?

 

ミ〜ナ:

本当ですか!? 考えもしませんでした。大将って、本当に研究熱心ですよね。感心します。

 

小熊:

ほとんどの飲み屋さんは、研究なんかしないからね。俺は、いっつも疑問に思ってるのよ。そこいらの飲み屋さんは、何であんなマズい食べ物を、平気で客に売れるんだろうかって。それと、何でほかの店で飲んで、わけわかんなくなったような客に、また酒を売るんだろう。そんなヤツに来てもらって、嬉しいんだろうか。俺は嬉しくも何ともないから、追い返しちゃうからね。飲んでくる客は絶対にダメ。一線は譲らないよ。昨日なんか、1日で3組くらい返したからね。「悪いけど帰って下さい」と丁寧に言ってるのに、帰らないオヤジがいたから、頭に来てね。「ふざけんな!」って怒鳴っちゃったよ。「金が欲しいばっかりでやってる店じゃねえよ、この野郎!」ってね(笑)。

 

ミ〜ナ:

格好いいなあ。そんなふうに酒場のルールを教えてくれる店主って、少なくなりましたよね。そういう意味でも「埼玉屋」は特別な店なんだなあ。

 

小熊:

実は最近、ホッピーの新しい、おいしい飲み方を発見したんだ。今度、飲みに来た時に教えてやるから、楽しみにしといて。

 

ミ〜ナ:

それは、ぜひ! 新開店向けに研究中だというスペアリブも、一緒にお願いしますね!

 

 
バックナンバー
第1回: 

「話題の店に行ったら、アラさがしはダメ!自分の店の参考になる、良いところだけをつかんでこい!」〜駒八 八百坂仁オヤジさん〜

第2回: 「お客さんを楽しませるよりも、まずはあなたたちが楽しめ!あなたたちが鏡になって、お客さんも楽しめる!」〜ティーケーエスグループ 神里隆オヤジさん〜

第3回:

「繁盛の秘訣はネーミング!よい発想は、真似(パロディ)や組み合わせから生まれる!」〜世界の山ちゃん 山本重雄オヤジさん〜

第4回: 「一番大事なのは筋を通すってことさ。結果的に儲けに走っちゃダメだってことだよ。」〜埼玉屋 小熊秀雄オヤジさん〜
第5回: 「ビールに氷を入れて飲みますか? それと同じで、せっかくおいしい飲み物を、薄めてどうするんだってことですよ。」〜尻臼 鈴木敏雄オヤジさん〜